ムンバイでの日々

復帰後初の海外出張はムンバイへ。

インスタグラムでも少しご紹介いたしましたが、2月半ばにインドのムンバイを訪れました。

滞在は1週間ほど、今回はダイヤモンドの仕入れと、GIAの宝石学のラボクラスを受けるのが目的で、予定を詰め込んだ駆け足の滞在となりました。

GIAとはGemological Institute of Americaの略称で、世界的な宝石学の研究機関であり、宝石の鑑別や鑑定を行う他、宝石に関する研究や教育も行っている研究所です。

アメリカのカリフォルニア州カールスバッドに本部がありますが、インド・ムンバイやタイ・バンコク、香港にもキャンパスがあります。

日本にも昔はキャンパスがあったそうですが、現在は教育機関の方は閉じており、鑑定・鑑別のみ行っています。

壮麗なチャトラパティ・シヴァージー駅。世界遺産でもある

ムンバイは成田から直行で8時間程度、多くの企業が集まり、中心部では近代的な高層ビルと植民地時代の建物が入り混じります。

早朝から夜遅くまで車と人が行き交う活気のある都市で、ノースリーブのワンピースにヒールで闊歩する現地の女性が見られたり、スターバックスやマクドナルドなど海外のファーストフードチェーンも並んだりするなど、とても現代的な雰囲気があります。

もちろんジュエリー産業がとても盛んで、特にダイヤモンドが有名です。

東京の御徒町同様、ムンバイにもダイヤモンド地区があり、ずらっと建ち並ぶビルの中には、ありとあらゆるダイヤモンドに関する業者が入っています。ダイヤモンド関連だけで埋まってしまうその規模感に「さすが宝石の国、インド…」と唸ってしまいます。

こちらはとてもセキュリティが厳しく、一般の方にもオープンなお店がある御徒町とは異なり、取引先とのアポイントメントがある人しか建物の中には入れないそうです。

今回のラボクラスの同級生にも、この地区にある会社に勤めている人たちが数人いました。

滞在が2、3日の場合はホテルにしてしまいますが、1週間程度になると、毎日外食も疲れてしまうので、海外出張の際はできるだけキッチンがある宿を借りるようにしています。

今回もAirbnbでGIAの近くのコンドミニアムの一室を借りることができたので、そこから通うことに。

日曜朝に出発し、夜には宿泊場所に到着して、そのまま月曜日からラボクラスがスタートしました。

昔と違ってUberが使えるようになり、タクシーとの料金交渉をしなくて良くなったので、本当に旅行が楽になったなとしみじみ感じ入りました。笑

今回のラボはダイヤモンドの講座で、実際のダイヤモンドを大きな顕微鏡を使いながら分析し、クラリティやカラー、蛍光反応などの識別の方法を学んでいきます。

これらはいわゆる「グレーディング」と言われる工程で、ダイヤモンドに関してよく4Cという言葉を聞かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、クラリティ(インクルージョンの種類や入り方)、カラー、カッティング、カラット(重さ)によってダイヤモンドはグレードが分かれます。

これはダイヤモンドについての共通言語のようなもので、私たちが仕入れの際に宝石商とやり取りをするときも、この情報が非常に大切になってきます。

今回のクラスでは、このグレーディングを実際に自分でできるようになるための実践の授業でした。

それぞれのデスクに顕微鏡があり、これでダイヤモンドを確認しながら授業が進む

GIAでは、複数のクラスが同時に開講されていて、休憩時間にはブレイクルームに人が集まるのですが、全体で見ると結構な人数で、まるで予備校のような様相。

エメラルドクラスやパールクラスなど、教室に名前がついており、それぞれ違う授業が行われています。

私はエメラルドクラスでしたが、講師は補助の先生と合わせて2人体制、クラスは毎朝8時半にはスタートし、17時ごろまで。30分の休憩が2回あるのみの集中講義でした。

授業では皆凄く学ぶことに意欲的、先生へ次から次へと質問を投げかけ、私も置いていかれないように必死でした。

他の国からも留学生が来ているかと予想していたのですが、いざ参加をしてみると、外国人は私だけ。経歴は皆それぞれですが、私のクラスはほとんどが宝飾業界の関係者ばかりでした。

ダイヤモンドのルースの卸業者だったり、時計やジュエリーを幅広く扱う大手のメーカーだったり。

販売サイドだけというわけではなく、採掘や製造など、より川上の業種の人たちも。

「ヒンドゥー語がわからない人?」という先生からの確認もあったため、授業は英語で進行していきましたが、生徒が先生に個別で質問するときにはヒンドゥー語も使われているようでした。

インド中から(なかには就職のためにドバイやイギリスなど別の国に移住し、移住先の海外から来ている人たちも)集まるわけですから、タミル語などヒンドゥー語以外が第一言語の人もいます。

特に休憩中は様々な言語が行き交う中、両方を分かる人が翻訳に入り、そこに英語も入り混じるという、インドのダイバーシティを象徴するような空間でした。

台所付きの宿を予約。お弁当を持参して登校

ちなみに食べ物は、ほとんどの人がホテル滞在でランチを用意することができない上に、宗教がバラバラで食べられるものが違うため、それぞれが休憩時間にブレイクルームで希望を出し、学校側が取りまとめて注文しておくというシステム。

ランチタイムには色々な生徒の注文したランチがテーブルに届いています。

私は自分のお弁当に加え、同級生からこれも食べてみろ、あれも食べてみろと、自分では試す機会がないようなおかずを色々と分けてもらい、毎日豪華ランチでした。

こうしたランチタイムや休憩時間では、ほとんどが宝飾業界ということで、同級生という立場で率直な話が聞けることが何より面白く、そうした意味でも非常に実りの多い時間でした。

というのも、宝飾業界は採掘から販売まで、非常に様々な業種があり、細分化されています。

私のようにブランドを運営する立場では、宝石業者や職人、販売に近い人たちと触れ合う機会は多くありますが、鉱山で原石の採掘をしてオークションに出すような業者や、宝石の研究機関で働く人たちと直接交流する機会は、日常ではほとんど無いからです。

特に仲の良かったクラスメートと放課後にディナーへ

とにもかくにも、皆おしゃべりがとても好き。

ブレイクルームにはいろんな飲み物を作ることができるようにコーヒーマシーンやホットミルク、数種類の茶葉などが用意されていました。

食後には殆どの人がチャイを作っては、ああだこうだと会話を楽しんでおり、私もついつられてホットミルクでチャイを作って皆の話に混ぜてもらう日々で、毎日があっという間でした。

 

最終試験にも無事パスし、普段オンラインでPDFの修了書ばかりもらっていた私としては、黒の額に装丁された紙のCertificateにずっしりとした重みを感じられ、しみじみと眺めました。

今年か来年、あと2回は他のクラスも受けることになりそうで、次回が今から楽しみです。

修了後の記念写真。中央の2人が先生

次のブログはスーラトでの仕入れに続きます。

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